在留資格「技能実習」とは



技能実習」は、発展途上国の若く意欲的な方たちが、日本で技能を学び母国に帰国して、経済発展に貢献してもらうための資格です。

1993年までは「研修生」と呼ばれていましたが、それ以降は「技能実習生」と位置づけられました。

技能実習生の数は、327,689人(2022年6月末時点)にものぼり、他の資格と比べても大変多くなっています。そして2017年には「技能実習法」が制定され、2022年にも見直しが検討されたりと、何かと変更の多い資格です。

今回はそんな「技能実習」の資格についてご紹介します。

1) 制度の概要

外国人技能実習制度は、日本国内において技能や技術、知識を身に付けた外国人が発展途上国である母国で経済発展に寄与できるようにサポートするのが最終目的となっています。

そのために、技能実習生の出身国では身に着けることが難しい技能や技術、知識を習得、熟達できるようなサポート体制を整えておく必要があります。


技能実習生が国内の企業や個人事業主と雇用契約を結び、様々な技能や技術、知識を身に付けられるように支援する制度として多くの企業・個人事業主が利用しています。



※2023年10月23日追記


外国人労働者のあり方を議論する政府の有識者会議は、10月18日に技能実習制度の廃止と技能実習に代わる新制度の創設を求める最終報告書のたたき台をまとめました。


国際協力を制度目的としている技能実習制度ですが、実際には労働力確保として利用されているケースもあり、制度目的と運用実態の乖離が指摘されています。そこで、現在の技能実習制度を廃止して人材育成と人材確保を目的とした新制度が検討されています。新制度では外国人を原則3年で一定の専門性や技能を持つ「特定技能1号」の水準に育成し、中長期的な就労を目指すとしています。技能や日本語能力の試験に合格すれば、最長5年滞在できる「1号」への移行を可能とし、不合格でも再受験のため最長1年の在留継続が認められます。


そしてこれまで原則できなかった転職を、1年以上働いたうえで一定の技能と日本語能力があれば、同じ分野に限り認めるとしています。有識者会議は年内に最終報告書をまとめ、24年1月の通常国会に提出予定だそうです。


【技能実習制度と新制度の比較】

2) 二つの受け入れ方法

①企業単独型


企業単独型は、海外の子会社などから受け入れる、取引実績が1年以上ある海外の企業から受け入れる、年間で10億円以上の取引実績がある海外の企業から受け入れるといった方法で外国人技能実習生を雇用します。


外国人技能実習生を受け入れる企業は、外国人技能実習機構に対して実習契約の申請を行い、認定してもらわなければいけません。監理団体を介さないのでコストは削減できますが、受け入れ企業が手続きなどすべてを行わなければならないので、労力がかかってしまいます。


②団体監理型


団体監理型は、商工会や事業協同組合といった非営利団体が外国人実習生の受け入れを行い、組合に加入している企業で実習を行うという方法になります。

在留資格証明申請や実習計画の作成指導などを監理団体が行います。コストはかかってしまいますが、負担を軽減しながら技能実習生を受け入れられるのは大きなメリットだと言えるでしょう。


①と②を比べると、総技能実習生の中で、監理団体によるものは98.5%を占めています。(2022年6月末)

[参考:出入国在留管理庁「外国人技能実習制度について」

3) 申請者の要件

申請者は次の条件に該当していることが要件となります。

1.修得しようとする技能等が単純作業でないこと。


2.18歳以上で、帰国後に日本で修得した技能等を生かせる業務に就く予定があること。


3.母国で修得することが困難である技能等を修得するものであること。


4.本国の国、地方公共団体等からの推薦を受けていること。


5.日本で受ける技能実習と同種の業務に従事した経験等を有すること。


6.技能実習生(その家族等を含む。)が、送出し機関(技能実習生の送出し業務等を行う機関)、監理団体、実習実施機関等から、保証金などを徴収されないこと。また、労働契約の不履行に係る違約金を定める契約等が締結されていないこと。


[参考:出入国在留管理庁「外国人技能実習制度について」]

4)在留期間

在留期間は、基本的に最長3年間と定められています。

技能実習生の行う活動内容により、入国後1年目の技能等を修得する活動と、2・3年目の修得した技能等に習熟するための活動とに分けられ、対応する在留資格として「技能実習」には4区分が設けられています。

2017年の技能実習制度の見直しにより、優良監理団体・企業と認められた団体・企業の実習生は最長2年間(1ヶ月以上の一時帰国が必要)の期間の延長が認められるようになりました。その場合は、「技能実習3号」となります。

※1号から2号、2号から3号に更新の際は、学科・実技試験の受験が必要となります。

5)該当する活動

技能実習の対象となる職種は85職種・156作業が技能実習2号の移行対象職種となっています。具体的には、以下の8ページをご覧ください。

外国人技能実習制度について(法務省 出入国在留管理庁、厚生労働省 人材開発統括官)


主な業種としては、建設・食品製造・繊維・機械金属・農業・漁業などがあります。


自社に技能実習生を受け入れたいと考えていても、対象の職種・作業でない場合、受け入れることができないため事前にチェックしておく必要があります。


日々対象となる職種・作業は追加されているため、現時点では自社の職種が対象外であっても将来的に技能実習生を受け入れることができる可能性もあります。


また、1年以上技能実習生を受け入れたい場合は、移行対象職種である必要があるため、前もって確認しておきましょう。

6雇用の流れ

   ①問い合わせ・制度説明  

 ②求人募集・面接 

 ③必要書類作成・申請 


※必要書類については、出入国在留管理庁のHPをご参照ください

  ④在留資格認定許可・ビザ取得 


各地方入国管理局に対して、在留資格認定証明書交付申請等、

外国人建設就労者の入国に係る手続きを実施するという流れです。

   入国(採用する外国人が国内にいない場合)

  ⑥入国後講習  

  ⑦配属・勤務開始  

7) まとめ

今回は、在留資格「技能実習」についてご紹介いたしました。


外国人技能実習生の受け入れを検討する場合、その制度や仕組みに関する正しい知識を身に付けておくことが重要になります。また、新制度についての新しい情報が更新されましたら、コンテンツをアップいたしますのでご参考ください。 不明点や疑問点などがある場合は、是非当法人にご相談ください。