健康保険について

1) 健康保険とは     

日本の医療保険制度には、健康保険国民健康保険があります。


健康保険は、民間企業に勤めている人とその家族が加入する医療保険制度です。

健康保険の保険料は、被保険者の給与額に応じて設定され、被保険者と事業主が負担します。


健康保険に未加入の人は、国民皆保険制度により、国民健康保険に加入することになります。


2) 適用事業所とは  

強制適用事業所」とは、社会保険への加入が法律によって義務付けられている事業所のことをいいます。


強制適用事業所にあてはまるのは以下2つの事業所です。


①常時1名以上使用されるものがいる法人事業所


法人の場合は、法人の種類や従業員の人数にかかわらず強制適用事務所に該当します。

合同会社や有限会社の場合、従業員が社長1人しかいない場合でも、社会保険に加入する必要があります。


②常時5名以上の従業員を使用し、以下の事業を営む事業所


製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業、媒介周旋業、集金案内広告業、教育研究調査業、医療保健業など



任意適用事業所」とは、強制適用事業所に該当しない事業所のうち、厚生労働大臣の認可を受けて健康保険の適用が認められている事業所のことです。


その事業所で働く従業員の半数以上の人が適用事業所になることに同意した場合、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることで、適用事業所になることができます。適用事業所になった場合、被保険者の要件を満たす従業員は加入する必要があります。

3)誰が適用されるのか ~正社員とパート・アルバイト~  


上記の強制適用事業所や任意適用事業所で働く代表者や役員、正社員必ず健康保険に加入しなければなりません。

つまり適用事業所に雇用されている従業員は国籍にかかわらず、当然に健康保険に加入しなければなりません。


パート・アルバイトも、下記のいずれかに該当すると健康保険の適用対象者となります。


1.1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同じ業務を行っている

  正社員などの一般社員の4分の3以上


2.従業員が501人以上の会社で、週20時間以上働いている ※1


3.従業員数が500人以下の会社であって、下記①~⑤をすべて満たしている

  ①週の所定労働時間が20時間以上

  ②雇用期間が1年を超える雇用の見込みがある ※2

  ③月額賃金が8.8万円以上

  ④学生ではない

  ⑤社会保険の加入について労使で同意している


なお、令和4年(2022年)10月からパート・アルバイト等の短時間労働者に対する健康保険の適用が拡大されます。

事業所の規模

※1〈変更前〉事業所の規模が常時500人越え → 〈変更後〉常時100人超え


雇用期間

※2〈変更前〉雇用期間が1年以上見込まれる → 〈変更後〉2か月を超えて見込まれる

4) 健康保険の手続き ~入社時~


適用事業所に雇用され、健康保険に加入する場合、会社側が雇用から5日以内に「被保険者資格取得届」を電子申請、郵送または窓口持参の方法により日本年金機構へ提出する必要があります。


従業員は事業主が手続きに必要となる基礎年金番号通知書・年金手帳またはマイナンバーカードを用意する必要があります。


5) 健康保険の手続き ~退社時~


退職希望者が健康保険に加入している場合、会社は以下の手続きが必要となります。

パート・アルバイトであっても、保険に加入していれば同様となります。


◆退職までに、本人及びその扶養者分の健康保険証を回収する必要があります。


◆退職日の翌日から5日以内に、事業所の所在地を管轄する年金事務所へ、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出しなければなりません。


◆「健康保険被保険者資格喪失確認通知書」は、退職者が国民健康保険に切り替える場合に必要となるため、コピーを渡すようにしましょう。


6) 給付内容

7) 加入手続きが遅れた場合にはどうするのか


上記、4)健康保険の手続き~入社時~でお話ししたしたように、会社は従業員を雇用したときから、5日以内に「被保険者資格取得届」を提出する必要がありますが、加入手続きが遅れた場合はどうなるのでしょうか。


結論をいうと、仮に5日以上経ったとしても問題はありません。


社会保険の時効は2年間なので、2年以内であればいつでも申請することができます。


もっとも、雇用時から60日以上経った場合には、被保険者資格取得届に加えて、下記の書類を添付する必要があります。


◆出勤簿(タイムカードでもOK)

◆賃金台帳(給与明細書でもOK)

◆遅延理由書


このように、入社時にはバタバタしていて提出を失念していても、時効期間内であれば問題なく提出可能です。

8) 外国人労働者が加入を拒んだ場合にどうなるか 


外国人の中には、「社会保険料が天引きされると手取りが少なくなる」「日本の社会保険料が自国に比べて高い」などの様々な理由から健康保険の加入に後ろ向きの人もいます。


しかし、上記、3)誰が適用されるか で述べたように、適用事業所に雇用されている従業員は加入が義務付けられています。



届出をしていない事業所のうち、特に悪質なケースでは、健康保険法208条1号により、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

または過去2年分に遡って、未納分の社会保険料を徴収されるおそれがあります。


このように、未加入は会社にとってリスクが大きいため、適用者にあたる場合には、外国人の希望は聞き入れず、早めに届け出ることが必要となります。


そのため、外国人を採用する場合には、採用のときから、加入が義務であることや加入のメリットを丁寧に説明することが不可欠です。


健康保険の場合は、上記、6)給付内容 で述べたように、療養の給付の他、病気や怪我、出産等で会社を休んだ場合に生活保障を受けられる給付金制度(傷病手当金や出産手当金)等が整っており、メリットは少なくありません。

9) 外国人労働者の家族は扶養対象になるのか 


被保険者の家族であれば、保険料がかからずに健康保険に加入することができます。

しかし、日本の健康保険に加入している外国人労働者が海外在住の扶養家族を加入させたい場合には以下の条件を全て満たす必要があります。


①被保険者である外国人労働者によって「生計が維持されている」こと

   「生計が維持されている」とは...

    ・同一世帯に属している場合

   扶養家族の年収が130万円未満であり、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満であること

    ・同一世帯に属していない場合

   扶養家族の年収が130万円未満であり、かつ被保険者からの援助額より少ないこと


②日本国内に住民票を有していること

10) まとめ


今回は健康保険についてご紹介しました。


健康保険の制度についてきちんと説明をし、理解してもらうことは、外国人材に長く日本で働いてもらうためにも重要です。


説明の機会を設け、社会保障制度に対する理解を深めましょう。