外国人採用後に起きやすいトラブルって?

~良くあるケースと対策~


外国人採用を行う企業は年々増加している一方で、

企業と外国人の間でトラブルが発生するケースも少なくありません。


ここでは外国人採用後のトラブルで良くあるケースと、

トラブルを未然に防ぐための対策をご紹介します。

1)給与から天引きされる費用をめぐるトラブル 

税金、社会保険料、社宅費、親睦会費などを給与から天引きして徴収する企業もあります。

しかしながら、特に社員旅行などのための「親睦会費」をめぐっては、給与から天引きされることに納得できない外国人も多く、トラブルになるケースが少なくありません。


対策として、天引きする費用に関しては曖昧にせず、その目的と徴収額を雇用前に丁寧に説明して合意を取ることが求められます。

2)文化の違いによるトラブル

日本の文化や常識は、外国人社員にとっては当たり前ではないことを認識しておく必要があります

【習慣、価値観】

国によっては「家庭や家族を何より大切にし、時には仕事以上に優先する」という価値観があったり、人々が時間にルーズな傾向があったりします。

また日本では、出勤時・退勤時に挨拶をし、休憩時は一言断りを入れるのがマナーですが、そのような挨拶の習慣が存在しない国もあります(タイ・ミャンマー・ベトナムといった東南アジアの国々など)。


対策として、まず相手の国の文化や習慣について事前に調べたり、一緒に働く中で「ベトナムではこういう時どうしますか?」といったように質問をして確認したりするようにしましょう。また、日本の文化やマナー、自社のルールについても入社前に丁寧に説明することを忘れてはいけません。


【宗教】

例えばアジア諸国にも信仰者の多いイスラム教では、一日に何度か礼拝を行う習慣があります。

業務の間に礼拝のための時間を設けることを許可する、必要に応じて礼拝用の部屋を一室用意するといった対応が求められます。

他にも宗教によって禁止されている食べ物・飲み物があったりと、食生活に制限がある場合もあります。

無理に飲みの場や食事の場に連れ出さない、必要に応じて社員食堂に対応メニューを用意するといったことを行いましょう。


【残業】

世界的に見ても、日本のように残業というシステムがある国は少ないです。終えてほしい仕事があるのに外国人社員が残業せず帰宅してしまう...という場合は、残業代が適切に支払われることを説明し、同意を得て業務に残ってもらいましょう。


【転職】

日本人と外国人では、転職に対する意識に差があることもしばしばあります。会社に対する不満がなかったとしても、さらなるキャリアアップを求めて積極的に転職しようとする外国人も少なくないでしょう。

転職のための急な辞職を告げられてしまっては大変なので、定期的に面談などの機会を設け、本人のビジョンと現状にズレが生じていないことを確認しましょう。



文化の違いによるすれ違いやトラブルを防ぐには、日本人社員と外国人社員の双方の理解を促進することが大切です。

採用前に外国人社員に向けて日本のマナー、自社のルールの説明を行うことはもちろん、外国人社員を迎えるに当たって、日本人社員に向けても文化や価値観に違いがあることを説明しておくことで、お互いが誤解なく働くことができるでしょう。

3)言語の壁によるトラブル

採用後、外国人社員が想像以上に日本語ができない場合もあるでしょう。

意思疎通が上手くいかず辞められてしまうといった事態を防ぐためにも、次のような対応を行いましょう。


【活発なコミュニケーションを生む場づくり 】

たとえ日本語を上手く話せなくても、普段から頻繁に社内での意思疎通が取れていれば、外国人社員も質問や意見交換をしやすい職場環境を作ることができます。

たわいのない話でも、外国人社員に積極的に声を掛けてみましょう。


また、職場内で外国人は外国人だけで固まってしまい、日本語を使わないため、いつまでも日本語が上達しないというケースも多くあります。

日本人社員と外国人社員が垣根なく交流できる雰囲気作りも、言語の壁を越えるには必要不可欠です。




【言葉を濁さず指示を出す】

日本語の曖昧な表現は、外国人にとっては理解が難しいものです。

例えば「できれば明日あたりにお願いできますか。」ではなく「必ず明日までにお願いします。」のように、明確な表現で指示を出すことが大切です。

また「これはちょっとね...。」などの濁した言い方はせず、「これはちょっと良くないから、○○のように改善してください。」などのように、内容を省略しない的確な指示を出しましょう。




【登録支援機関・監理団体などによる通訳サポートを受ける 】

外国人雇用を支援している登録支援機関や監理団体などが提供する通訳サポートを取り入れるのも、一つの手段です。

ベトナム人の方の就職支援と紹介を多く行う当団体では、ベトナム人スタッフが多く在籍し、採用決定後も通訳を中心とするアフターサポートサービスを行っています。

母国語ですぐに相談できる環境があることは、外国人社員にとって大きな安心材料になるだけではなく、トラブルの防止と万が一トラブルが起きた際の対応策として、企業にとっても大きなメリットがあります。

4)外交問題を持ち出すトラブル

外交問題に関するセンシティブな話題を職場で話す、または当該国出身の外国人社員に話題を投げかけるといった行為は、パワハラになる場合もあります。些細な発言から感情的な議論になり、トラブルに発展するケースもあります。


日本人社員と外国人社員の双方が気持ち良く働くことができるよう、政治や宗教に関する話題は職場に持ち込まないなどの対応が求められます。

日本人・外国人社員の双方に事前指導を行いましょう。

5)まとめ

以上、外国人採用後のトラブルで良くあるケースと対策をご紹介しました。


文化の違いや言語の壁は絶対に存在するものですから、必ず企業の努力が求められます。

事前に対策しておくことで、トラブルや最悪の事態を防ぎ、日本人にとっても外国人にとっても働きやすい職場環境を築くことができます。