ベトナム人と働く前に
知っておくべきこと
ベトナム文化やベトナム人の性格って?
厚生労働省のデータによると、2021年の日本におけるベトナム人労働者数は45.3万人に上り、これは国内外国人労働者の国籍別1位の数です。ベトナムは親日国として有名で勤勉な方が多いことから、今ベトナム人を採用したいと考える企業は多いです。
12万人を超えるベトナム人のSNSコミュニティを持つ当法人では、これまで多くのベトナム人の方々の就職支援を行って参りました。
この記事では、ベトナム人採用を決めた企業が、文化の違いや知識不足によるトラブルを防ぐために事前に知っておくべきベトナムに関する知識をご紹介します。
(参考:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和3年10月末現在))
1)ベトナムの基礎知識
〈国土・気候〉
ベトナムは正式名称をベトナム社会主義共和国(Socialist Republic of Viet Nam)といいます。首都はハノイ、最も大きな都市はホーチミンです。
南北に細長い地形をしています。面積は日本の0.88倍で、日本の総面積から九州を除いたくらいの大きさです。日本・ベトナム間は片道約5〜6時間のフライトを要します。
ベトナムは北部と南部で気候が異なります。ハノイを中心とした北部は亜熱帯気候で四季があります。6〜8月は高温多湿で蒸し暑く、12〜2月にかけては気温が10度前後まで下がります。ホーチミンを中心とした南部は熱帯性気候で、年間を通して高温多湿の常夏です。5〜11月が雨季で、1日に数回突発的な豪雨(スコール)があり、12〜4月は乾季で晴天が続きます。
〈宗教〉
ベトナムでは大乗仏教を信仰する人が最も多く、人口の8割を占めています。大乗仏教は中国由来の仏教ですが、ベトナムでは土着文化と混ぜ合わせた独自の大乗仏教が発展しています。
次に信仰が多いのはキリスト教です。特にカトリックを信仰している人が多く、これはフランス統治時代にベトナムに広がったものです。
〈食べ物〉
ベトナムはかつて中国とフランスの支配を受けた歴史があるため、ベトナム料理には中国料理とフランス料理の影響が強く残っています。主食として米や麺が親しまれ、箸や茶碗を使う文化は中国由来、フランスパンを食べたりコーヒーを飲む習慣はフランス由来のものです。
ベトナムは北部と南部で気候が異なるため、食文化も異なります。首都ハノイがある北部では「フォー」が有名です。ホーチミンのある南部ではベトナム風生春巻き「ゴイ・クオン」やベトナム風お好み焼き「バインセオ」などが有名です。
フォー
バインセオ
ベトナムは稲作が豊富で、主食は米または米でできた麺です。インディカ米という細長い米を日本と同じように炊飯器で炊いて食べます。
またベトナム人はコーヒーをよく飲みます。ベトナムコーヒーはココナッツのような甘い香りが特徴です。
参考はこちら
2)ベトナム人の性格
〈性格・気質〉
一般的にベトナムの方の特徴を語る時、「勤勉」や「真面目」と評価される事が多いです。その気質は日本人と通ずるところがあるでしょう。
一方で、例えば「これはやりたくない」、「これは好きじゃない」というように「物事を正直に言える」人が多いところは日本人と異なるかもしれません。さらに「時間にルーズ」な国柄も日本とは異なります。
また、既に多くのベトナム人が日本に渡り出稼ぎを経験しているため、これから日本にやってくるベトナム人の多くは、経験者から日本の話を聞き、日本に対して好意的なイメージ・親日感情を持っています。
〈日本と異なる仕事観〉
ベトナム人は家族をとても大切にする家族第一主義です。時には仕事よりも家族を優先します。ベトナム人にとって仕事は人生ではなく、生きるための手段に過ぎないのです。
また日本の「サービス残業」の概念は存在しません。残業をお願いしたい場合は、残業代がきちんと支払われることを説明して、業務に残ってもらいましょう。
3)ベトナム人と上手にコミュニケーションをとるには
日本人とベトナム人が、言語や文化の壁を超えてスムーズにコミュニケーションを取り仕事を進めるために、気を付けるべきポイントがあります。
一つ目は「言葉を濁したり省略したりせずに指示を出す」ことです。
日本人はフルセンテンスを話さず、ついつい言葉を省略してしまいがちです。例えば「これはちょっとね...。」などの濁した言い方はせず、「これはちょっと良くないから、○○のように改善してください。」のように、はっきりと意図が分かるフルセンテンスで指示を出しましょう。
二つ目は「明確な言葉で指示を出す」ことです。
ベトナムには物事をはっきりと言う文化がありますから、「○○した方が良いでしょう」のような日本独特の曖昧な表現では、ベトナム人は仕事の指示だと理解できない場合があります。仕事を指示する時は「何を・いつ・どこ・どうやって・いつ報告する・どんなフォームで報告する」まではっきりさせて伝えて下さい。
また期限がある場合は、「できれば明日あたりにお願いできますか。」といった曖昧な指示はやめて、「必ず明日までにお願いします。」のように、はっきりと期限を知らせてお願いしましょう。
4)まとめ
以上、ベトナム人と働く前に知っておくべきポイントを解説しました。
ベトナムの文化や価値観、日本との違いを事前に知っておくことで、日本人にとってもベトナム人にとっても働きやすく共に過ごしやすい環境づくりができるのではないでしょうか。