在留資格「永住者」とは

「永住権」とは、外国人が在留期間に制限なく日本に在留することができる在留資格です。

今回はその永住権について、取得の条件や申請方法をご紹介します。

1) 制度の概要

在留資格「永住者」とは、国籍を変えずに日本に住み続けることができる在留資格のことです。在留資格「永住者」を取得することで在留期間、在留活動のいずれの制限もなくなり、自由度が増します。ただし、永住者でも在留カードには有効期限があります。有効期限内に手続きをしないと、不法滞在となってしまうので忘れずに更新をしましょう。

このため在留資格「永住者」を取得するには通常の在留資格を変更するよりも慎重に審査が行われます。

2) 申請者の要件

ア:原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。


イ:罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。


ウ:現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。


エ:公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。


出典:法務省|永住許可に関するガイドライン 原則10年在留に関する特例(令和元年5月31日改定)

3)取得方法

許可申請を行うことができるのは、次の通りです。 


 ①外国人本人

 ②法定代理人

  法定代理人とは外国人本人が未成年であればその親にあたります。

 ③申請取次者

  本人から依頼を受けて、本人や代理人の代わりに申請を行うことができます。

  永住許可申請の取次申請を行う許可証を持つ弁護士や行政書士を指します。

  

次に取得方法についてですが、在留資格「永住者」は日本に来てすぐに取得することはできません。原則として他の在留資格で10年以上在留し、他の資格から「永住者」への許可申請を行う形となります。

条件により10年という期間が短くなる場合があります。出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」に記載がありますのでお確かめください。

     

申請に必要な書類の取得・作成

在留資格「永住者」の取得には沢山の書類提出が必要となり、

申請人の持っている資格や身分によって必要な書類が異なります。

入管のホームページに提出書類が記載されています。

こちらからご確認ください。


最寄りの出入国在留管理局で永住申請

集めた書類を持参し、永住申請を行います。

不備があると受理されませんので、きちんと書類を準備して

申請を行うようにしましょう。

また、審査期間中に追加で書類や情報を求められる場合があります。

その際は速やかに対応できるように心がけましょう。

結果の通達

在留カードを入管で受け取り、完了となります。






4)「永住者」と「帰化」の違いについて


「永住者(永住権)」と間違われやすいのが「帰化」です。

「帰化」は日本国籍を取得することを指し、外国籍ではなくなる、つまり日本人になるということです。そのため在留資格制度からは外れます。日本人が受ける社会保障などの権利も、全て同じように受けられることになります。


一方、在留資格「永住者」では国籍は変えずに「外国人」として日本に在留し続けるものです。

帰化の申請・承認は永住権より更にハードルが高くなります。また、日本では二重国籍が認められていないので、日本国籍を取得したい場合には、元々の国籍を手放す必要があります。万が一、元の国籍に戻したいと思った時には国籍を取り直すことが大変難しい国もありますので、帰化には十分な検討が必要です。

帰化についてはこちらのページで詳しくご紹介しております。是非ご確認ください。

「帰化申請とは」

5)永住権を持っている人を採用するメリットとは

永住権を持っている場合、「在留期間の制限がない」「日本での活動に制限がない(職種や業種などの就労制限が無い)」ので、在留期限や就労可能業務内容について考慮する必要がありません。そのため、日本人と同じ条件で働くことができます。

また、日本に滞在している期間が長いため日本語レベルが高い人が比較的多く、在留資格「永住者」を取得するにあたって、厳しい審査を通ったため信頼性が高いとされています。

6)海外転勤と永住権申請との関係に注意

海外に長期で出張(転勤)する場合、いったん日本の在留資格を返納する手続きを取るため、永住権申請に必要な在留年数がリセットされてしまいます。

そのため、海外転勤を視野に入れて採用をするのであれば永住権をとりたいかどうかなど、意思確認を怠らないようにしましょう。

7) まとめ

今回は、在留資格「永住者」についてご紹介しました。


在留資格「永住者」を取得している外国人は、この先も日本に住み続ける可能性の高い人材です。そのため企業でも長い期間勤めてもらえて戦力となることが期待できるでしょう。

ですが、自由度が高い代わりに在留資格「永住者」を取得するには労力や時間が必要です。お悩みの方は当事務所までぜひご相談ください。

【問い合わせリンク】

houmu@mpken.jp