在留資格「特定活動」とは?
雇用はできる?
ー雇用時における「指定書」の確認方法など詳しく紹介ー
1) 在留資格「特定活動」
「特定活動」とは、現在ある在留資格のいずれにも分類できない活動に従事する外国人に与えられる在留資格のことです。そのため国内における外国人の活動の幅を広げることが出来ます。「特定活動」の種類によっては就労が認められていなかったり、職種が限られたりする場合もあります。
よって「特定活動」の在留資格を持った外国人を受け入れる際には注意する必要があります。
在留期間
1~5年、3か月又は6ヶ月、もしくは法務大臣が個々に指定する期間と決められています。法務大臣が個々に指定する期間は5年を超えない範囲内とされているため、「特定活動」の最長滞在期間は5年です。原則として、在留資格「留学」から変更する時や、初めての在留期間更新の場合は、在留期間が1年となります。
「特定活動」は3つの種類に分類されます。
①出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動
外国人が一定の事業活動を行う機関で、高度な研究や研究の指導、あるいは教育をする活動が出入国管理及び難民認定法で定められています。以下の1から4に該当する必要があります。
1.高度な専門的知識を必要とする特定の分野に関する研究(以下「特定研究」という)を目的とするものであること
(注)「高度な専門的知識を必要とする…研究」とは、通常修士課程修了以上の方が行う水準の研究であって、基礎的・創造的分野におけるものを指す。
「特定の分野」とは、学術上一般的に独立した研究分野として具体的に特定されている必要がある。
2 特定研究を行う本邦の公私の機関(以下「特定研究機関」という。)が、当該特定研究に必要な施設、設備その他の研究体制を整備して行うものであること。
注)「研究体制を整備」していると認められるためには、その機関の施設の規模や研究費等が研究分野に応じて確保され、研究を行う体制が整備されていることが必要である。
3 特定研究の成果が、当該特定研究機関若しくはそれと連携する他の機関の行う特定研究若しくはこれに関連する産業に係る事業活動に現に利用され、又は当該利用が相当程度見込まれるものであること。
(注)特定研究の成果の利用については、特定研究機関の案内書(パンフレット等)や登記事項証明書、その他参考となる資料(陳述書等)を提出することで判断される。
4 特定研究を目的とした活動を行う外国人の在留に係る十分な管理体制を整備して行うものであること。
(注)「十分な管理体制を整備」しているか否かについては,特定研究を目的とした活動を行う外国人を受け入れる特定研究機関が、当該外国人の入国の申請を行った地方入国管理局等に対して定期的に当該外国人の稼働状況等を報告することや、契約内容の変更や契約の終了等があった場合にも報告すること、あるいは当該外国人に対して日本在留に関して適切な指導をすることについて同意する旨の書面(参考様式 [PDF])を提出していただくことによって確認しています。
引用:出入国在留管理庁【在留資格「特定活動」(特定研究等活動)について】
②告示特定活動
法務省が告示している特定活動のことです。この活動は社会状況に影響されるため、種類や数に変化があります。
2023年1月時点の告示一覧は以下の通りです。
告示1号・告示2号・告示2号その2
家事使用人(外交官等)
告示3号
台湾日本関係協会職員及びその家族
告示4号
駐日パレスチナ総代表部職員及びその家族
告示5号・告示5号の2
ワ-キングホリデー
告示6号・告示7号
アマチュアスポーツ選手とその家族
告示8号
国際仲裁代理
告示9号
インターンシップ
告示10号
英国人ボランティア
告示12号
サマージョブ
告示15号
国際文化交流
告示16号~24号、27号~31号
インドネシア、フィリピン、ベトナム 二国間の経済連携協定(EPA)
看護師・介護福祉士関係
告示25号・告示26号
医療滞在とその同伴者
告示32号
外国人建設就労者
告示33号
高度専門職外国人の就労する配偶者
告示34号
高度専門職外国人又はその配偶者の親
告示35号
外国人造船就労者
告示36号
特定研究等活動
告示37号
特定情報処理活動
告示38号
特定研究等活動家族滞在活動
告示39号
特定研究等活動等の対象となる外国人研究者等の親
告示40号・告示41号
観光、保養を目的とする長期滞在者 とその同伴者
告示42号
製造業外国従業員受入事業における 特定外国従業員
告示43号
日系4世
告示44号・告示45号
外国人起業家とその配偶者
告示46号・告示47号
本邦大学卒業者とその配偶者等
告示48号・告示49号
オリンピック関係者とその配偶者
告示50号
スキーインストラクター
※ 告示11号、13号及び14号は削除
この活動は社会状況に影響されるため、種類や数に変化があります。
詳しくはこちらをご参照ください。
参考:法務省【在留資格「特定活動」告示一覧表】
③告示外特定活動
あらかじめ告示はされていない、慣例的に法務大臣が日本への上陸と在留を認める特定活動のことです。他の在留資格に当てはまらず、「出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動」や「告示特定活動」にも該当しない場合は「告示外特定活動」となります。
この在留資格はすでに日本に入国した人が、何らかの理由により「告示外特定活動」として在留資格を取得する流れとなります。
以下のようなケースが挙げられます。
◯留学生の就職活動
留学生の場合卒業後に日本で就職すると、在留資格を「留学生」から「就労ビザ」へ変更しなければなりません。ただし何らかの理由で就職が決まらず引き続き就職活動を続けたい場合には、特例として「特定活動」が認められます。この場合、下記の2つの種類に分類されます。
①継続就職活動大学生
在留資格「留学」をもって在留し、日本の大学、大学院、短大、高専を卒業した外国人で、かつ、卒業前から引き続きの就職活動を目的として日本への在留を希望する者。
②継続就職活動専門学校生
在留資格「在留」をもって在留し、日本の専門学校を卒業した外国人で、かつ、卒業前から引き続きの就職活動を目的として日本への在留を希望する者のうち、学んだ内容が「技術・人文知識・国際業務」など、就労ビザに該当する活動と関連があると認められる者。
6ヶ月の在留期間と1回の更新が許可されるので、最長1年の就職活動をすることが可能となります。
◯本国の家族を呼び寄せたい場合
在留外国人が本国の家族を呼び寄せたい場合、人道的配慮という観点から認められる活動となっています。
明確な許可基準は公開されていませんが、
・高齢者であること
・本国にご両親の面倒を見る人がいないこと
・家族が日本での就労を予定していないこと
・在留者に家族の扶養能力があること
などが想定条件としてあげられています。
2) 指定書の確認方法
先ほどご紹介した通り、「特定活動」は個人によって認められている活動内容が異なります。したがいまして、就労可能かどうか調べるためには「指定書」を確認する必要があります。
「指定書」は在留カードと一緒に発行され、パスポートに添付されています。在留カード自体には「特定活動」としか記載されていないので、必ず「指定書」を確認しましょう。
◯就労可能な場合
報酬を受ける活動 と記載されています。
◯就労不可の場合
報酬を受ける活動を除く と記載されています。
就職活動のように就労が認められない「特定活動」で在留する外国人が生活費を稼ぐには、「資格外活動許可」を取得する必要があります。週28時間までのアルバイトが可能になります。
「資格外活動許可」については、こちらのページで詳しくご紹介しております。
➡「資格外活動許可について」
3)在留資格「特定活動」を取得するには
「特定活動」の在留資格を取得するには、日本での活動内容によって条件や提出書類が変わります。
例えば、日本の大学を卒業した留学生が卒業後に日本での就職活動を希望する場合には、在学していた大学の卒業証書や推薦状を提出する必要があります。
その他の「特定活動」別の取得方法は、こちら をご確認ください。
4) まとめ
以上、在留資格「特定活動」についてご紹介しました。
「特定活動」は個々によって認められている内容が異なるため、雇用する際には「指定書」で活動内容を確認する必要があります。
また、法務省が告示する「告示活動」は更新されるので、こまめに最新の情報を得るようにしましょう。