「育成就労制度」の創設
2023/12/13
「育成就労制度」の創設
2023/12/13
外国人労働者のあり方を議論する政府の有識者会議は、11月30日に技能実習制度を廃止し新たに「育成就労制度」を設けることを主とした最終報告書を法務大臣に提出しました。
報告書では技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」を設け、外国人を原則3年で一定の専門性や技能を持つ「特定技能1号」の水準に育成し、中長期的な就労を目指すとしています。技能や日本語能力の試験に合格すれば、最長5年滞在できる「1号」への移行を可能とし、不合格でも再受験のため最長1年の在留継続が認められます。
〈特定技能1号への移行への要件〉
①技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験
合格
②日本語能力A2相当以上の試験(JLPT N4等)
合格
そしてこれまで原則できなかった転職を、1年以上働いたうえで一定の技能と日本語能力があれば、同じ分野に限り認めるとしています。
受け入れる職種は現在の技能実習制度の職種等をそのまま引き継ぐのではなく、新たな制度と技能実習制度の趣旨・目的の違いを踏まえ、新たに設定するものとするそうです。
また、新たな制度は人手不足分野における特定技能1号への移行に向けた人材育成を目指すことから、受け入れ対象分野は特定技能制度における「特定産業分野」に限られます。
(➡介護、ビルクリーニング業、製造業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野)
見直しに当たっては国際的にも理解が得られ、我が国が外国人材に選ばれる国になるよう、3つの視点に重点が置かれました。
①外国人の人権保護
外国人の人権が保護され、労働者としての権利性を高めること
②外国人のキャリアアップ
外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組みをつくること
③安全安心・共生社会
すべての人が安全安心に暮らすことができる外国人との共生社会の実現に質するものとすること
この3つの視点と以下の4つの方針に沿って見直しが進めらました。
①技能実習制度を人材確保と人材育成を目的とする新たな制度とするなど、実態に即したものとするこ
と
②外国人材に我が国が選ばれるよう、キャリアパスを明確にし、新たな制度から特定技能制度への円滑 な移行を図る
③人権保護の観点から、一定要件の下で本人意向の転籍を認めるとともに、監理団体等の要件厳格化や関係機関の役割を明確にする
④日本語能力を段階的に向上させる仕組みづくりや受入れ環境整備に取り組み、共生社会の実現を目指す
そして政府はこの最終報告書を踏まえて検討を進め、関連法案を早ければ来年の通常国会に提出するとのことです。
「育成就労制度」について新しい情報が入り次第随時、更新していきます。