在留資格

特定技能」とは 

「特定技能」は2019年4月にスタートしたばかりの新しい在留資格です。特定技能在留外国人数は現在87,472人にも上り(2022年6月末時点)、外国人採用において既に活発に利用されている制度です。

一口に「特定技能」といっても、その中には2つの種類と12の分野が存在します。

今回は気になる「特定技能」について、そのポイントや「技能実習」との違い等に触れながらご紹介します。

1) 制度の概要     


特定技能制度は、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。

2018年に創設され、2019年4月から受入れが可能となりました。


2) 2つの種類    

「特定技能」には、1号と2号の2種類があります。


特定技能1号

特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格


特定技能2号

特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格


特定技能2号についてはこちらのページで要件等詳しくご紹介しております。

➡「特定技能2号の取得要件」


〈それぞれのポイント〉 

特定技能1号

〈在留期間〉 1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで

〈技能水準〉 試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)

〈日本語能力〉生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外        

       国人は試験等免除)

〈家族の帯同〉基本的に認めない

〈受入れ機関又は登録支援機関による支援〉対象


特定技能2号

〈在留期間〉 3年、1年又は6か月ごとの更新、通算での上限なし

〈技能水準〉 試験等で確認

〈日本語能力〉試験等での確認は不要

〈家族の帯同〉要件を満たせば可能(配偶者、子)

〈受入れ機関又は登録支援機関による支援〉対象外



1号では在留期間に5年の上限があり、家族滞在は認められていませんが、2号では在留期間に上限がなく、家族滞在が可能となることが大きく異なるポイントです。

ただし、特定技能1号よりも2号の方が高いレベルの技能水準が求められます。

3) 12の分野と特定技能測定試験 

特定技能を受け入れる分野は、人材を確保することが困難な状況にあるため、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)です。

特定技能1号は下記の12分野で受入れを行っており、2号の場合は下線の2分野(建設、造船・舶用工業)のみ受け入れを行っています。


【受け入れ12分野】

①介護

②ビルクリーニング

③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

建設

⑤造船・舶用工業

⑥自動車整備

⑦航空

⑧宿泊

⑨農業

⑩漁業

⑪飲食料品製造業

⑫外食業

【特定技能測定試験】

特定技能の在留資格を得て就業するには、「特定技能測定試験」を受検する必要があります。この試験は、国が定める基準をもとに作成した問題により「日本語能力」と「技能」の水準を評価する試験です。

「日本語能力」の水準は、独立行政法人国際交流基金が実施する「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または独立行政法人国際交流基金および日本国際教育支援協会が実施する「日本語能力試験(JLPT)」において判定されます。国際交流基金日本語基礎テストのA2以上または日本語能力試験のN4以上(介護分野の場合は、これに加えて介護日本語評価試験)が必要です。

「技能」の水準は、職種ごとの業界団体が実施する「技能測定試験」において判定されます。


【各分野毎の業務と技能試験】 

①介護

[従事する業務](1業務区分)

身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに 付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等) 

※訪問系サービスは対象外

[技能試験]

 介護技能評価試験


②ビルクリーニング

[従事する業務](1業務区分)

建築物内部の清掃

[技能試験]

ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験


③建設

[従事する業務](3業務区分)

・土木 

・建築 

・ライフライン・設備

[技能試験]

建設分野特定技能1号評価試験等


④素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

[従事する業務](3業務区分)

・機械金属加工

・電気電子機器組立て

・金属表面処理

[技能試験]

建設分野特定技能1 号評価試験等 


⑤造船・舶用工業

[従事する業務](6業務区分)

・溶接 

・塗装 

・鉄工 

・仕上げ

・機械

・電気機器組立て

[技能試験]

造船・舶用工業分野特定技能1号試験等


⑥自動車整備

[従事する業務](1業務区分)

自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随

[技能試験]

自動車整備分野特定技能評価試験等


⑦航空

[技能試験](2業務区分)

・空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等)

・航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)

[技能試験]

特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング、航空機整備)


⑧宿泊

[従事する業務](1業務区分)

宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊 サービスの提供 

[技能試験]

宿泊業技能測定試験


⑨農業

[従事する業務](2業務区分)

・耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)

・畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)

[技能試験]

農業技能測定試験


⑩漁業

[従事する業務](2業務区分)

・漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植 物の採 捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等) 

・養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動 植物の 収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等)

[技能試験]

漁業技能測定試験(漁業又は養殖業)


⑪飲食料品製造業

[従事する業務](1業務区分)

飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)

[技能試験]

飲食料品製造業特定 技能1号技能測定試験 


⑫外食業

[従事する業務](1業務区分)

外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)

[技能試験]

外食業特定技能1号技能測定試験

4) 技能実習との違い


「特定技能」と混合しやすいものに、在留資格「技能実習」が挙げられます。

ここでは二つの在留資格の違いを解説します。

①制度の目的

特定技能は、国内人材の確保が困難な分野において外国人を受け入れる「人材不足解消」を目的として創られた制度です。

一方で技能実習は、外国人に対して日本の現場の技能・技術・知識を提供し、それを母国に持ち帰ってもらうことで、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力する「国際貢献」が制度の目的とされています。

②就業可能な業種や職種

二つの在留資格ではそれぞれ認められている業種や仕事内容が異なります。

特定技能には上で説明した通り12の業種が存在するのに対し、技能実習には86職種とその中で細分化された153の作業(2022年時点)が存在しています。

特定技能は技能実習よりも、一人で従事する業務の幅が広いということも特徴です。

③在留期間

特定技能1号は更新を行うことで5年間の滞在が可能で、更新の際に追加の試験は必要ありません。また2号であれば在留期間の上限はありません。

一方で技能実習は、1号は1年、2号と3号は2年という種類ごとの上限が決まっています。1→2→3号と更新すれば最大5年間の滞在が可能ですが、更新のためには試験を受検する必要があります。

④転職の可否

特定技能は同じ職種内であれば転職が可能ですが、技能実習の転職は原則認められていません。

⑤受け入れ方法

技能実習は監理団体を通した紹介でのみ受け入れが可能ですが、特定技能は受入れ企業自ら採用を行っても、紹介会社を利用しても良く、受け入れ方法は自由に選択可能で、特に制限がありません。


技能実習と特定技能の違いとして、以上のような点が挙げられます。

二つの制度で目的が異なるため、詳細も異なることが分かります。



在留資格「技能実習」については、こちらのページにて詳しくご紹介しております。

よろしければ、併せてお読みください。

在留資格「技能実習」とは

5) 雇用の流れ


最後に、特定技能在留外国人の雇用の流れを解説します。

来日する外国人を採用する場合と、なんらかのビザで既に日本に滞在している外国人を採用する場合とでその流れは異なります。


【日本国内に在留している外国人を採用するケース】

①(外国人が)試験に合格又は技能実習2号を修了

②特定技能外国人と雇用契約を結ぶ

③登録支援機関と委託契約の締結(必要に応じて)

④特定技能外国人の支援計画を策定する。

⑤在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局へ行う

⑥「特定技能1号」へ在留資格変更

⑦就労開始

【海外から来日する外国人を採用するケース】

①~④上記と同様

⑤在留資格認定証明書交付申請を地方出入国在留管理局へ行う

⑥在留資格認定証明書受領→受入れ機関から本人への送付

⑦在外公館に査証(ビザ)申請

⑧入国

⑨就労開始


申請に必要な書類については、出入国在留管理庁のウェブページをご参照ください。


6) まとめ


今回は在留資格「特定技能」についてご紹介しました。

特定技能は新しい制度なだけに、創設から度々制度の拡大や変更が行われています。

この先もさらなる更新が続いていくことでしょうから、特定技能での外国採用をご検討の場合は、不明点や疑問点などぜひご相談ください!

houmu@mpken.jp までお問合せください。