日本で生まれた外国人の子の在留資格
日本で外国人の両親の間に生まれた子供は、日本国籍を有しませんので日本に在留するためには在留資格を取得する必要があります。ですが、両親の取得している在留資格によって子供の在留資格も変わってきます。そこで今回は、取得できる在留資格や手続きなどをご紹介していきます。
1) 国籍付与に関する考え方
国籍とは「人が特定の国の構成員であるための資格」をいいます。
どの範囲の者をその国の国民として認めるかは、その国の歴史、伝統・政治経済の情勢等によって異なり、それぞれの国が自ら決定することができます。
そして国籍付与の考え方については、以下の2つに大きく分けられます。
①生地主義
両親の国籍に関わらずその国で生まれた子であれば、原則として全員に国籍を付与する考え方
採用国:アメリカ、カナダ、ブラジルなど
②血統主義
生まれた国に関係なく、父母から受け継いだ血縁関係により国籍を取得するという考え方
採用国:日本、中国、韓国、ベトナムなど
日本は②の血統主義を採用しているので、両親のどちらかが日本人であれば生まれてくる子供は日本国籍を取得することができます。
しかし、外国人の両親の間に生まれた子供は日本国籍を有しませんので、日本に在留するためには在留資格を取得する必要となります。
2) 取得できる在留資格の種類
そこで子供が取得できる在留資格を、両親が保有する在留資格ごとに分けてご紹介します。
(ⅰ)父または母が「永住者」ビザを持っている場合
①日本国内で生まれて、出生後30日以内に在留資格取得許可の手続きをする場合
➡「永住者」
②日本国内で生まれて、出生後30日を超えて在留資格取得許可の手続きをする場合
➡「永住者の配偶者等」
しかし、出生後も引き続きその子供が日本に在留している必要があります。
もし子供が日本を離れ、海外で暮らしている場合に在留期間が切れてしまった場合には再び「永住者の配偶者等」を取得する事はできません。
③「永住者」の実子のうち、出生地に関わらず出生後日本に在留していない子供の場合
➡「定住者」
子供が引き続き日本に在留していない場合には、日本で出生した子供も「定住者」ビザを取得することとなります。
④子供の出生後に親が帰化により日本国籍を取得した場合や永住者となった場合
➡「定住者」
(参考:出入国在留管理庁「永住者の配偶者等」)
(ⅱ)親が永住資格を取得していない場合
➡「家族滞在」
具体的には親が就労資格や留学ビザなどで滞在している場合です。日本国内で出産し、一緒に日本で住む場合には「家族滞在」を取得することになります。出生日から30日以内に出入国在留管理局へ在留資格取得許可申請を行う必要があります。ですが、出生日から60日以内に帰国する予定で、在留資格が必要のない場合には申請の手続きは扶養です。
3)手続きの流れについて
以下の流れに沿って手続きを行います。
①出生届
・父又は母が出生の届出を生まれた日から
14日以内に行う必要があります。
この届出は子供が生まれた場所か、
届出人の所在地にある市区町村に提出してください。
〈必要となるもの〉
・出生証明書
※その他必要となるものは、
届出をする市区町村にお問い合わせください
⇓
②子供の在留資格取得
出生後30日以内に、地方入国管理局の窓口で
在留資格取得の申請手続きを行います。
※出生した日から60日以内に出国する場合は必要ありませんが、
60日以上日本に在住する場合は申請をしなければなりません。
⇓
③母国への出生申告
子供が生まれたことについて本国へ届け出る手続きを行います。
詳しい手続きについては、父または母の国籍国の駐日大使館・
(総)領事館にお問い合わせください。
また、子供のパスポートも手続きをします。
参考:岡山市「外国人住民の届出:日本で子供が生まれた場合」
法務省「出産・子育て」
4) まとめ
以上、外国人の両親の間に日本で生まれた子供の在留資格についてご紹介しました。
もし父または母が「永住者」の在留資格を持っている場合、出生後30日以内に申請を行うことで生まれてきた子供も、最初から「永住者」の在留資格が許可されますが、31日以上が経過してしまうと、「永住者の配偶者等」の在留資格となります。そのため、在留資格の申請は早めに行うようにしましょう。また、60日を経過すると不法在留に該当しますので、出生から申請までの日数にはご注意ください。両親の在留資格によって取得できる在留資格は異なりますので、判断に迷われた際やご不明な点がありましたら当事務所にお問い合わせください。
【問い合わせリンク】
houmu@mpken.jp
また、外国籍の連れ子の呼び寄せについてはこちらのページにてご紹介しています。